3月1日、沈剛師、呉式太極拳研究会の仲間、友人知己、
そして家族に見守られ、また支えられ
「呉式太極拳 順展会」が小さな一歩を踏み出した。
ささやかではあるが、大きな縁の力にみちびかれ動きはじめた太極拳教室、
感慨ひとしおである。
お世話になった方々へこの場をかりて心より御礼申し上げたい。
教室開きに際し、会名「順展」にこめた思いを簡単に書き記しておきたい。
「Junten」の音と意味は、
天に順う(したがう)という「順天」から想を構えた。
中国古典の一つ『易経』の言葉である。
天のかたち、すなわち気象の変化を知り、
それに逆らうことなく、したがうことこそ、
最大の恵み(収穫)を得る最良の姿勢であると
農耕民族である古代中国人は考えたに違いない。
自然の運行に調和する姿勢が最大の効果をもたらす点において、
天の道は武の道に通じると思われる。
とりわけ「捨己従人」(しゃきじゅうじん)をこととする太極拳においては、
こころあり方、からだの状態、また相手との関係、
いずれも「順」(したがうこと)=「調和」が基本となる。
推手練習がこれをリアルに実感させてくれる。
「力を入れるのではなく力を抜く」
「自分を主張するのではなく相手についていく」
「露骨に現すのではなくむしろ隠れる」
「ぶつかるのではなく変わらない一定の関係をたもつ」
太極拳で大切なことも、このような推手の訓えと同じで、
余計な力み、かたより、ゆがみなどを修正しながら
体本来の自然体に調和していくのである。
最後に「展」の字について。
「順う」という状態が自分の体にとどまらず武器、相手、
また太極拳の枠を越えて日常へ自然に広がっていくことを
「展」の字にこめて「順展」とさせていただいた。
力み、ゆがみ、予備動作などを誘発する恣意があってはならず、
あくまでも自然に展開し、染みこんでいくようでありたい。
2016年3月1日、
千里の一歩を踏み出したに過ぎないが、
今後教室でご縁を得た人、
また 天地との調和を大切に、順展の道を歩んでいきたい。