太極拳の仲間がシェアした
「イチロー42歳×稲葉篤紀43歳」の対談動画を
遅ればせながら見た。
なぜイチローが約20年の長きにわたって
一流の活躍を続けられたのか、
その答えの数々が惜しげもなく披露されいて、
とても興味深い内容であった。
太極拳と通底するポイントを中心に、
私見を書き留めたい。
プロ野球選手の平均寿命は29歳前後。
これは昔も今もほとんど変わらいない由。
現在42歳のイチロー選手のすごさはどこか?
稲葉氏は
「スイング・打球・遠投」すべての能力において
イチロー選手は出色だと言う。
40代としてではなくプロ野球選手一般として一流であるそうだ。
パフォーマンスを高めるため
イチローが普段心がけていることはどんなことか、
彼自身の言葉をひろってみると、
彼が外見より内面をはるかに重視していることがわかる。
イチロー自身の言葉と私見を並べて要点をたどってみる。
「遠投のとき肩の水平を保つ」
投げるとき肩を上げないのは、
力んで力任せに投げないため。
また左右のバランスを崩したり、
偏った体の使い方をしないため。
イチローのレイザービームはこうした身体意識と訓練から生まれるのだ。
太極拳の「沈肩垂肘」「中定を守る」「陰陽バランスを崩さない」ことと共通する。
「打つとき、胸をピッチャーに見せてはいけない。
グリップは最後まで残らなければいけない。」
バッティングは腕で行うのではなく、
下半身の安定と軸の回転による力の伝達によって行われなければならない。
力の進路は、下から上へ。
下半身の力が、
膝・腰・肩・腕を通してバットへ伝わるのが、
無駄がなく、最大のスピードと威力を生む。
だからグリップが動くのが最後となる。
「股関節が早く開いてしまうのはNG」
股関節はギリギリまで閉じ、
インパクトの直前に開くことによって
効率の高い最良のスイングとなる。
太極拳の閉胯・開胯の意識・動きと同じ。
「骨盤・肩甲骨の動きが重要」
具体的にどのような意識を働かせ、
体をどのように使っているのか、
対談の脈絡のなかで十分な情報がなく
残念ながら読み取れなかった。
体の内面を重視していることがうかがわれる
重要なフレーズなのでひろっておく。
「肩の力みをとるには、肩だけに注意しても無理。
膝の力を抜かなければいけない」
肩の力を抜くのは、
野球・太極拳に限らず体を使う競技すべてに共通する鉄則。
それを可能ならしめるのは、
上・中・下盤がなめらかにつながり、
一つの全体としてのシステムが確立されていること。
太極拳がなぜ膝を曲げ、中腰姿勢のまま動き続けるのか、
答えは明瞭で、
全体システムの確立と応用のため。
「人体を理解しながらプレーをすればケガは防げる」
人体にとって無理のない体づくり、
人体の自然な在り方との協調、
イチロー選手の一流パフォーマンスを長期間保つ秘訣はこのあたりあるように感じられた。
そもそも人間の体とは弱いもので、
体の本質的弱さを認め、
それを強くしていくのが太極拳の体系。
イチロー選手の体理解と体との付きあい方に、
太極拳との共通点を多く見つけ、深く共感した。