第22回 細部において妥協しない


江戸時代の画家 伊藤若冲(1716年ー1800年)生誕300年を記念し、先だってその作品が大きな注目を集めた。

NHKの数回にわたる特別番組、東京都美術館での特別企画展(すでに終了)は大好評あるいは大盛況だったよう。

以前から若冲作品に心底惚れこんでいた者としては、まことに喜ばしい回顧現象であった。

私にとって若冲最大の魅力は、

  1. 「生きる」ことを栄枯盛衰の幅で見せてくれる

  2. 細部に妥協しない

の2点にある。

⬛︎ いのちの栄枯盛衰

動植綵絵の「軍鶏図」が生命力きらめく陽の極致の作品であるのに対し、

「蓮池図」は盛りを過ぎ、静かに衰えゆく命の陰の側面を描き、

静謐だが鮮烈な印象で見る者に迫ってくる。

うつろいゆくいのちの姿を、

陰陽両面ではっきりととらえ、

その生命感を誰にも真似できない筆致で描いたところに、

若冲のすごさ・素晴らしさを感じるのである。

思うに、

軍鶏や蓮池のモチーフありきであったのではなく、

生命の陽の極まりを軍鶏に、

陰の象徴を蓮池に見たのでそれらを描いたのではなかろうか。

⬛︎ 妥協のない細部へのこだわり

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