さくら(ソメイヨシノ)の開花予想がちらほら報じられるようになった。
報道を待つまでもなく、
本格的な春のあたたかさ、さくらの開花が待ちこがれる。
光の色が明るさと柔らかさを増し、
木の枝がこげ茶一色から
何となく薄ピンクに色づきはじめ
つぼみのふくらみを少し感じられるようになると、
さくらとの出会いがいよいよ間近に感じられ、ガゼン期待もふくらむ。
そのさくら、
花を咲かせる準備をはじめるのは今の時候ではなく、
意外にも前年の6月頃からだとか。
開花をさかのぼること約8ヶ月、随分早いスタートを切っている。
青葉茂れるとき、さくらは盛んに葉を増やし、
同時にやがて花となる「花芽(かが)」をつくる。
花芽は日差しが強くあたたかいうちに生長し、
秋も深まり涼しくなると休眠に入る。
そして寒のもっとも厳しい頃に目覚め活動を再開。
寒のゆるみとともに再び活発に生長し、
3月下旬から4月初旬にめでたく開花と相なるそう。
さくらの一年サイクルが、
一陰と一陽のバランスで成り立っていることがとても興味深く思われる。
上の話を少し補足すると、
さくらは一定時間寒さにさらされることが非常に重要で、
このプロセスがなかったり、暖冬で寒さが十分でないと、
キレイに花を咲かせることができない。
沖縄でソメイヨシノにお目にかかれないのは、
気候が温暖なため開花へのタメとなる寒さがないからだそう。
太極拳の動きはすべて例外なく、
大きく展開する「開」と
深く収蔵する「合」の規則正しい組み合わせによってできている。
間もなくの開花を待ちながら、さくらの一年サイクルに想いを馳せるとき、
太極が「一陰一陽」あるいは「一開一合」の連続から成っていること、
それが自然と腑に落ちる。
植物の生長と人体の動きが、
同じ生きものとして同じメカニズムを共有することはごく自然なことであろう。