第66回 「あいだ」の追求


型の練習を行うとき、太極拳では「1・2・3」などの号令をなぜ用いない?

理由の要点は2つ。

① 太極拳の動きは分節できない(動きの連続性に真髄がある)

② 動きと動きの「あいだ」に豊富な要求がある

(その要求通りに動くことで連続性が守られる)

① ②は一つのことの両側面で、

大切なのは固定した形(一つの姿勢が決まっている状態)ではなく、

緩急・強弱・濃淡のムラをなくし動きを連続させること。

「あいだ」で何が起きているのか、

「あいだへの要求」を少し拡大してみたい。

たとえばどの武術にもある「方向転換」。

◯ 原則、腰椎から動きはじめる

◯ 動と静を使い分ける(骨盤と腰椎の分離)

◯ 「開・合・咬・回胯」を用いて上半身と下半身の調和をたもつ

◯ 体の柔らかさ、動きの滑らかさを壊さない

◯ スピードは変化しない、まして止まらない

など外から見えにくい内面的要求が多い。

上記は氷山の一角で、

この他にも太極拳には「あいだの消息」を明解に定める教えが数多くあるが、

今回はこれ以上深入りしない。

連絡動作というあいまいなもの、内容的にうすいものになりやすい型の動作と動作の「あいだ」を、

太極拳では体が不合理・不調和な状態におちいりやすい難しさ、

また何ぴとにも共通の弱点がひしめく難所と位置づける。

数ある「あいだへの要求」はそれらを少しずつ緩和してくれる教えに他ならない。

太極修練の柱の一つは「あいだの追求」と言って過言ではない。


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