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第18回 体は最適化される - 前編 -


体は使いかた(練習)によって進化する、

使いかたに応じて最適化されると思っている。

いい寿司職人の手は寿司を握るとき低温になるという。

温かい手より温かくない手で握ったほうが

シャリとネタの美味しさを最大限に引き出すからだ。

ツール・ド・フランスの選手の体は自転車のフレームのようで、

細く軽く、しかも丈夫で長持ち。

長距離を高速で走るのに超人的な力を発揮する。

相撲取りの体つきは、

丸く、重く、しなやかなことダンプカーのタイヤようで、

ぶつかった時の強靭さは重心の低いブルトーザーを思わせる。

スペック、パフォーマンス、何からなにまで

常人をはるかに超える規格外のものだ。

先日NHK BSでダイバー 二木あいさんの

「カリブ海・クジラの親子と出会う旅」とういう番組を観た。

考えかた、取り組みのいちいちに納得したが、

もっとも心を揺さぶられたのは、

海中を泳ぐ彼女の姿。

いわゆるダイバー風情が微塵もなく

海の生きものと人間の中間的存在、

まさに人魚のように見えた。

「海では自然な状態で生きものと交流したい」

というのが彼女のこだわりで、

自然にそぐわない酸素ボンベのような異物を用いず、

素もぐりで生きものたちに近づく。

不思議なことに、というより当然なことに

彼女のまえでは魚たちに警戒の色はない。

知能の高いアシカやクジラにいたっては、

彼女と戯れながら楽しそうに泳ぐ姿さえ映像におさめられていた。

水族館ではなく自然の大海原のなかでの出来事、

驚愕の光景であった。

人間という類を超え、

海のなかに生きる哺乳類に親近感をいだかせ、

機械の助けを借りず生身の体だけで

彼らと親しい交流までなしとげる二木さんの進化した姿に、

体のもつ大いなる可能性を感じさせていただいた。

太極拳によって起こる体の進化とはどのようなものか、

次回はそのことを書いてみたい。


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