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第20回 デザイン考


「太極拳はユニバーサル・デザイン」という言葉を前回使い、

「デザイン」という考えが頭に引っかかっている。

そのことをもう少しめぐってみたい。

言葉の語源はラテン語の「designare」。

「計画を記号に表す」という意味だそうだ。

語源はともかくとして、

私たちの身の回りにはデザインがあふれている。

大は住まいから小はスマートフォンまで、

洗練された秀逸なデザインにとり囲まれているのが、

ほとんどの現代人の日常であろう。

それゆえデザインの価値はますます高まり、

オリジナリティはいよいよ厳しく問われる。

2020東京オリンピックのエンブレム選びにまつわるスッタモンダは記憶に新しく、

デザインに対する注目度の高さを象徴する出来事であった。

私は平素稽古のメモをとるのに

フリクションボールペンを愛用している。

書きやすいだけであれば、ただのボールペンだが、

これが出色なのは、

書いたものが「消せる」しかも「消しカスが出ない」こと。

つまり、一本のボールペンが鉛筆と消しゴム以上のパフォーマンスをしてくれるのがスゴイ、凄すぎる。

ユーザーにやさしい機能というデザインを形にした商品ではないだろうか。

実はこのフリクションボールペン、

2015年のグッドデザイン賞で金賞を受賞している。

同賞関連で私が日頃お世話になっているものを挙げれば、

  ◯ Googleマップ(2013 グローバルデザイン)

  ◯ たわし [亀の子束子1号(小)] (2013 ロングライフデザイン賞)

  ◯ 粘着メモ、ふせん [ポスト・イット®ノート](2013 ロングライフデザイン賞)

  ◯ LED電球 [Panasonic LDAHV4L27CG](2011 グッドデザイン金賞)

などである。

賞の選考にあたって大切にされていることで個人的に気になったのは、

  ◯ ヒトが中心にある

  ◯ 社会を発展させる力を持っている

  ◯ 誰かの生活を真に豊かにする

  ◯ もの・ことづくりを導く創発力

  ◯ 現代社会に対する洞察力

◯ 未来を切り開く構想力

などで、

賞のミッションは

「よいデザイン」に込められた思想や方法論は、

我々の次なる活動に対して手がかりを与えてくれる。

次なる社会に向けた創造の連鎖、

つまり新しい「気づき」を提供することだそうだ。

私たちは道教の先人たちがたどりついたヒト理解・人体理解にもとづきデザインされた古典太極拳を今に修練しているわけだが、

グッドデザイン賞にこめられた思想のほとんどすべては

太極拳デザインのなかに盛り込まれているのではないかと感じる。

多少言葉を入れ替えて、グッドデザイン賞のそれに重ね合わせると、

太極拳には

  ◯ ヒトと自然が中心にある

  ◯ 現状を発展させる力を持っている

  ◯ 心身を真に豊かにする

  ◯ 今以上の自分へと導く創発力

  ◯ 現状に対する洞察力

◯ 現状を切り開く構想力

などがデザインコンセプトにある。

練習を重ねて思うのは、

これらのことは太極修練による気づきによって少しずつ開かれていくこと。

古典太極拳の現代性と普遍性は、

現代デザインの粋とも言えるグッドデザイン賞の思想・取り組みを前にしても

決して色あせるものではないと思うのだが、

皆さんはどう考えられるあろうか。


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