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第29回 ミッシングリンクへの気づき


「ミッシングリンク(失われた環/鎖)」、

もともと生物学で使われていた用語で、発見されていない中間形の化石のこと。

たとえば類人猿の化石。

有名なダーウィンが進化論を発表した当時、

サルからヒトへの進化の過程をつなぐ化石が発見されておらず、

彼は著書のなかで「将来、必ずヒトとサルを結ぶミッシングリンクが発見されるに違いない」と記したそうだ。

果たして予見通り、猿人(アウストラロピテクス)、ジャワ原人、ペキン原人、ネアンデルタール人、新人(クロマニヨン人)など数々のミッシングリンクが次々に発見されたことは

ご案内の通りである。

武術レベルの進化(レベルアップ)の過程においても、

ミッシングリンクへの気づきが重要な役割を立たす。

◯体の部分と全体をつなぐミッシングリンク

◯心と体をつなぐミッシングリンク

◯天・地・人をむすぶミッシングリンク

など。

武術のミッシングリンクは、教えだけでは十全に受けとることのできない、不立文字の未知の領域。

未知から既知へ、既知から熟知へ至る決定的なリンクを手にするには、「体得」しかない。

稽古を重ね、経験と感覚の成熟だけがリンクへの唯一の手がかりなのだ。

気づきは自身の体験から浮かび上がってくる一つの答え。

気づいたときは、すなわち全体に何らかの大きな変化が起こるときで、

それを今風に言えば、心と体を運用するOS(オペレーティング・システム)がメジャー・アップデートされるときなのだ。

武術の特殊用語として、もし私がミッシングリンクを超訳すれば、「禅機」という言葉をあてるだろう。

稽古されている方にはこの感覚、共有していただけるのではないだろうか。


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