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第70回 夏こそ冷えにご用心


気象庁より6月7日ごろに発表された関東地方の今年の梅雨入り。

明けはまだ宣言されていないが連日暑さが続く。

最高気温30度オーバーすら珍しくなく、

ところによっては35度を上回る地域も。

奇妙に響くかもしれないが、

気温が上昇し暑くなればなるほど「冷え」に用心しなければならない。

– 体を冷やす内・外の環境 –

快適に冷やされた室内の温度。

しっかりと冷やされた飲みもの、体を冷やす陰性の食べもの。

たとえば、夏の生野菜、刺身、冷やっこ、冷麦、枝豆など。

今の季節、我われは内・外の両側から体を冷やすものに取り囲まれている。

– 夏の風邪はお腹にくることが多い –

冬の風邪は喉や鼻に症状がよく表れる。

対して、夏風邪はお腹が不調になることが多い。

そのメカニズムはこうだ。

冬の風邪の病原体は、胃酸に弱い。

喉や鼻で繁殖できても、胃で撃退されてしまうためその先の腸へは進めない。

一方、夏のウィルスは攻撃力抜群の胃酸にも耐性があり、腸まで侵攻してしまう。

夏風邪の遠因にはウィルスを退治しきれない胃の脆弱性がある。

– 冷えは体の防御力を弱める –

そもそも胃の能力がなぜ夏に衰え、体の深部にまでウィルスの侵入を許してしまうのか。

重大な原因の一つは冷えによる深部体温(体の中心部の体温)の低下。

消化酵素は、深部体温が37度のときもっとも活発に働くが、

胃や腸が冷えるとその働きはにぶり、消化不良をまねく。

それだけでなく、腸内の悪玉菌が増殖し腸内環境をも悪化させる。

またウィルスや病原菌から体を守る白血球の活動もさまたげる。

冷えは総じてシステムとしての体の防御力・抵抗力を劣化させてしまう。

涼を渇望する暑い夏だからこそ冷えへの注意が欠かせない。

– 夏はバランスのよい天人合一を –

炎天下にいれば涼しい室内に退避したくなり、

食事のときには冷たいもの、陰性のものに自然と手が伸びる。

それが人情であろう。

だが、季節と体のバランスのとりかたを間違え、

極端に走らないように気をつけなければならない。

陽性の強まった体を冷やすには、

極端に冷えたものを一気かつ大量に飲食するより、

きゅうり、トマト、なす、すいかなど旬の食べもので穏やかに熱を冷ましたほうがよい。

また冷房のよく効いた部屋で終日過ごし汗をまったくかかないより、

時間と場所を選び運動をして少し汗をかいたほうが体に備わる体温調整能力が損なわれない。

運動で筋肉を使うということは、エネルギーを燃焼させ、熱を発生させること。

低体温と縁遠い病い知らずの強い体の維持にもつながる。

現在、我われは自然を超越した人為的な環境で生きている。

この環境では真夏でも涼しい快適な室温、のどごしのいい冷たい食べもの、飲みものだけを選ぶこともできる。

しかし外部環境がどれだけ変わっても、人はなお自然の一部であり、体は天の運行規律に従っていることに変わりはない。

飲食も含めその自然の規律をはみ出した生活が続けば体の自然が破壊され、不調をきたして当然であろう。

天の陽性が極まる折から、

生命力を弱めないための暑さ対策は極端・過剰・性急な冷えを避け、バランスのよい中庸をこころざすのがちょうどいい。

冷え過ぎに注意し、皆さまには快適・健康な一夏をお過ごしください。


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