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第82回 開胯・合胯・閉胯・回胯

更新日:2020年4月30日


呉式太極拳の方向転換は必ず「開胯・合胯・咬胯・回胯」を用いて行う。

骨盤とその動きに付随するものをここでは簡単に「胯」と定義するが、型のなかで設定されている45度、90度、180度の方向転換の正確性は、「胯」の使い方と柔らかさによって担保される。

開いてから閉じるのが「開胯・合胯」、閉じてから開くのが「咬胯・回胯」。

胯は腰椎との連携が必須で、胯の動きは腰椎の動きによって牽引される。

言葉の解像度をあげてみよう。

方向転換では腰椎の動きが常に先行。つづいてその動きに胯が導かれる。初動として腰椎が動くあいだ両骨盤は微動だにしない。腰椎だけが他のすべての関節から独立し先んじて動くことで、「重さの移動」「方向の転換」が体の深部で粛々と進められる。次に向きたい方向への最初の舵切りはこれで完了。こうなれば「胯」は重い負荷から解放され自由度が当然あがり、「開胯・合胯」「咬胯・回胯」いずれもやりやすい状態となる。弓歩のときの前脚について、腰椎の動きがもし先行しなければ上体の重さを全面的に担う胯は身動きがとれない。無理して動こうとすれば、胯自体の力み・他の関節の不合理な動きを誘発し、全体の「中定」はたちまち破壊されてしまう。

呉式太極拳で「胯」をどのように用いているか、師父 沈剛の動画(慢架108式抜粋)をご覧いただきたい。

方向転換のとき、「開胯・合胯・咬胯・回胯」をなぜ用いるか、なぜ用いなればならないか?

全身の協調性・柔軟性を乱しやすく、硬さや断点が目立ちやすいのは、まっすぐの前進・後退より方向転換のとき。「開胯・合胯」「咬胯・回胯」を用いるのは、乱れを最小限にし、動きの連続性を守るため。

太極拳では「動」と「静」をキッチリ分けることが鉄則、それを思い出してみよう。

この原理を守っての方向転換はなかなかママならない。

「静」であって欲しい関節、動いてはいけない関節が勝手に動いてしまうのが方向転換の難しさで、肩が力んだりズレたり、胸を張ったり、膝・骨盤がズレるのは「動」と「静」がうまく分けられていないことから起こる。

人間が先天的に苦手とする方向転換の初期動作は、ほとんどの関節の動きを止め、静止モードにして、できるだけ少ない関節すなわち腰椎と胯のみによって行うのが最善。中定を破壊せず、全体の調和を保って動きを連続させるには開胯・合胯・閉胯・回胯」を運用するしかない。

このように太極拳を行えばガゼン難しくなる。しかしダンゼン面白い。


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